2010/09/14

恐ろしいふるさとと向き合ってみる『シッピング・ニュース』

先週は最後の有給を使って,姉と甥子たちとIKEAに行ってまいりました.

IKEAは楽しい.ほしいものいっぱい.
巨大カートにすっぽりおさまる甥子2人が可愛い

IKEAといえば,キャサリン・ゼタ・ジョーンズが美しいシングルマザーを演じた
『理想の彼氏』って映画・・・IKEAが多数登場w
IKEAが映画に出資してたりするんですかね??

キャリアウーマン(に戻ってしまった)
超セクシーシングルマザーが心やさしいフリーターの青年と恋するってお話.
このフリーターの人,ナショナルトレジャーのかわいそうなライリー君の人です.
この映画でもそのまんまの役です.

アメリカに出てくるこういうフリーターの青年って,
いい家で生まれて両親も元気で,けっこういい大学出てるって設定多くないか???

監督のバート・フレインドリッチは,あのジュリアン・ムーアの夫です.
ジュリアン・ムーアのほうが10歳年上で,しかも彼女のほうが稼ぎそう

というわけで自分のこと描いたんじゃないの?この映画?
(ちなみに主役の男子はけっこうイケめんw)

ジュリアン・ムーアと言えば,私は『シッピング・ニュース』という映画が非常に心に残ってます.

冷房ガンガンで観ると,外の暑さを忘れる映画ですw
私はね~昔NHKの小さな旅っていう土曜日の朝にやってる番組が
なんだか心にしみわたって,こわーい感じがしてたんですが,
その雰囲気に似た映画なんです

怖くなかった?なんかこの番組と,曲↓

主人公のクオイル(ケビン・スペイシー)が,
工場で単純労働しているシーンから始まります.
 舞台はNY・・・新聞社の印刷工場です
機械音が響く中,ヘッドフォンをしてぼーっと機械を観ているだけの究極の単純作業.

この無表情がすごい
機械を目で追ってすらいない

無感動でなに考えているんだかわからない表情と、この雰囲気はスペイシーさすがです
アメリカの田舎にいるワスプの不気味な失望感が良くわかる。

『8Miles』みたいに、攻撃的で夢もまあまだある若者と違い、
すっかりこの地で希望を失った中年男が、惰性で呼吸をしているような・・・・

ある日,クオイルは町でビッチ(ケイト・ブランシェット)に出逢い,

言われるがままにセックスして,娘が生まれます
そんでも・・・なんか無表情


ケイトさん,ビッチなメイクすると非常にきれいな方ですね.
ちょっとしか出てこないんだけど,なかなか印象に残る役です

で,クオイルはある日親が亡くなったということで
遺灰を運ぶために,娘を連れて祖先の眠る村へ向かいます


ここまでのクオイルの表情とか,小さな娘との会話のやり取りとかで,
知的障害の人なのかな?・・・と思ってました・・・.



黒い海に囲まれ,パイレーツの残虐な歴史が刻まれたどんよりとした村・・・
で,音楽がいいんですよ~
民族楽器のパイレーツを思わせるどんどこどんっておとと笛のおと・・・
これで聞いてね↓
http://www.youtube.com/watch?v=n1CltM43CFA&feature=related

この土地で生活を始めるクオイル.

一応新聞社に勤めていたということで(印刷工場だけどw)その経歴を買われ、
地元の新聞社で港町の記事(シッピングニュース)を書く仕事につき,
社長から取材と執筆を習い始めます。




片田舎のあの町と違い、歴史の刻まれたこの土地では、人間一人一人にドラマがあります。
そのドラマをインタビューしながらクオイルは他人に興味を持ち始める



まさにNHK「小さなたび」


で、すると、だんだん
あ、クオイルが生き始めた・・・というしーんが、
先輩の反対を押し切って自分の意思でひとつ記事をかき、自分の記事がどうだったか、
不安そうに彼女に「どうだった?俺の記事??」みたいに相談相談するシーン。

仕事も人生も惰性ではなくなってきている彼の人生の変化を感じて面白くなってくるし、
ちょっとわくわくしてくるんですね。

そして美しい未亡人(ジュリアン・ムーア)と恋愛し・・・・


なんか知らない間に,クオイルが普通の父親に見えてくるから不思議w


まあそれで,ちょっとした事件があったり素朴なお話が続く映画で,
不思議な出来事も起きたり・・・・


変な雰囲気~



私は子供のころ『ムーミン谷の冬』っていうのを読んで,
なんとなーく怖い不思議な雰囲気に魅了されたのですが,あの雰囲気に似てます



土地に歴史があり,そこから動けない(動かない)ムーミン一家と,
冬が来ると旅に出るスナフキン・・・


シッピング・ニュースの監督はラッセ・ハルストレムという方で,
ムーミンの隣の国,スウェーデン出身のかたらしいです


IKEA発祥の土地スウェーデンです~w


この監督は,土地に住み着く人の葛藤と,移動していく人へのあこがれが
非常に身にしみる映画を作ってます
『ギルバート・グレイプ』『サイダーハウスルール』『ショコラ』
でも田舎町描写は素晴らしいです.
なんか,ホラーっぽいけどw


しかし・・・
最近テレビで見た「Hachi」の監督とかやってたりして、びっくりしました。
しかも先月偶然みた「アンフィニッシュライフ」とかいうどうでもいい映画もつくってたりします.
リチャードギアとジェ二ファーロペスじゃ、
この名監督をもってしても無理ってことでしょうかw


近代化で人間は土地から自由になって,
流れていく社会と一緒に人間もみーーんな進歩したかのように思えても,
やっぱ土地から離れられない人の生活もあるのだなあ・・・と


人がいっぱいの都会の生活を送りながらこの映画を見ると,
逆にこの水彩画のようなぼやぼやした映画に,怖いんだけど癒される
のはなぜでしょう・・・・






ちなみに原作の小説は,『ブロークバック・マウンテン』の原作の人で,
寒々しい雰囲気がなんとなく似てます.この映画は私嫌いでした.



しかし俳優の選び方や風景の描写は、非常に素晴らしい監督です

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