2010/09/14

尊厳は命にかかわるんだ!(後半)『めぐりあう時間たち』と『アムステルダム』

・・・で,前回の続きですが(っても続けて書いてますw)

死までを描く映画でも,自殺から始まる映画って結構ありますね
人の死は,周囲の人の生の始まりだったりします.「first wives club」とか.

イギリスでもっとも有名な女流作家,ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)の自殺からはじまる映画が
『めぐりあう時間たち』です

この映画では,未遂を含め3人が自殺を図ります
(ホモだけど)男のエド・ハリスガ死ぬ理由は,病でかわりはてた自身の苦悩から.

しかし女性たちが死のうとするのは,自分らしい生き方ができない苦しみから.

この映画では他にもいろんな語れるテーマがあるんだけど,それはまあおいといて
「末期の病」という,安楽死を選びたくなるような状況で描かれることの多い尊厳死ですが・・・・・



どうでしょうか

病気でなくても,死にたくなるような状況ってあるじゃないですか



働きたくても働けない,
結婚したくてもできない
頑張っても結果がでない,
苦しくて自分ではどうにもできない.


そんでも頑張れ・生きろっていうってメッセージってには心底滅入りませんか?w

だってじゃあさ、頑張れってことはさ、私が頑張れないからできないってことですかい?
頑張ったけど,自尊心傷つくまでやってみたけど,だめでしたって場合も
それでも,頑張らない私がわるいのかい?

病気を決して軽視するわけではないですが、病気とおなじくこういう苦悩だって、
全く不条理な災害だと私は思うのです。

こりゃあ頑張ったってしかたないよな,世の中が悪いんだから・・・って価値観があってもいい
のでは?

↓で,こんなところに頑張らないへたれを発見


イアン・マキューアンの『アムステルダム』(1998)
「理想の自分」を失っていくのを恐れる姿が本当に
残酷に描い
かれています.



私は日本語でしか読んでないんですが,
なんかイギリスっぽい鼻につく文章なんです

最初から最後までちゃんと読んだのは一回で,
なにかと思いだして,あれはどうだったっけ?
ってちょこちょこ読み返してしまう魅惑の小説です


この小説,葬儀から始まります.

高級雑誌の編集者と作曲家という
成功した人生を手に入れたインテリ男たちが,
故人について「いい女だったよな~っ」
てなどうしょうもない会話をするw

インテリで,面白くて,美人で,せくしーで,
あっちもいける(ことをみんな知ってるw)
奔放でセクシーな女性が進行性の謎の病気になり,
自分の体の自由や意識まで失って生き続け,やがて死んだ

自殺も許されず、やがて醜くなっていく自分への嫌悪するら意識できなくなり,
ただただ夫に看病され続け、夫にだけ看取られやがて彼女は死んでしまった.
とらえどころのない奔放な女性,結婚しても夫でさえ得難いとうな魅力を放った女性が、
病気に倒れついに夫一人のものになった


・・逆『ミザリー』ですなw・・


で,そんな彼女の闘病生活に思いをはせたインテリダメ男たちは,安楽死協定を結ぶ

「あんなになったらお互い,尊厳を守るために殺し合おうっていう約束・・・

尊厳死の話って,『母の眠り』『私の中のあなた』『海を飛ぶ夢』,
素晴らしい映画がたくさんありますが・・・
全部,亡くなる人の,亡くなるまでの闘いと,家族のお話を描いたものです.



死を意識するところから始まるのがこの小説のおもしろさは、
成功し,いつまでも大学生のような生活を続けながらも自分の老いていく肉体に気付焦燥感

焦るよ、まじでw
軽々しいインテリ野郎どもの生活に影をおとした彼女の死・・・
事故でも自殺でもなく,病気によって長く尊厳を失った末の死.


尊厳を失うことは,死よりも恐ろしいということではないだろうか?

自由を失い、人に保護され看護されるのが人生といえるのか?
逆に、私たちの見せる同情や愛情は、偽善ではないのか?

で、話はそれるが、
人生ってまあ大抵の人にとっては・・・つらいじゃん?

もし,安楽死ってものがこの世にあったら.自由な選択だとしたら,いつでも死ねるとしたら
・・・どうするかなあ?みんな?

今すぐにでも死にたいってひとは,いない
きっと.

私ならまず『恋はデジャブ』のビル・マーレィみたいに
借金して,好きなもん食べまくって,ランボルギーニ盗むね

まあいいや

そうそうそれでね,
最近は勝間和代系統の自己啓発本なるものが流行ってるけど,
ちょっとさ,自分が頑張るのが絶対的にいいことなのか?

結局は尊厳を力や幸運で手に入れた,たんなる勝者の理論だ.
一生懸命自己啓発本なんか読んだって,憂鬱になるだけw

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