2010/09/14

ニューヨークのおっさん小説家と男のロマン『スモーク』

さゆさんのブログ 今日は昨日すっかり話がそれてしまった『Smoke』(1995年)ですw
最近、この映画を制作したMIRAMAXという会社が亡くなったっていうニュースがありました。

2000年に入ってからは『CHICAGO』とか、ああいうおっきい映画を作っていたと思うんだけど、
だめだったんだね.





私が映画を見始めた90年代にのころには、
『パルプフィクション』とか、『グッド・ウィル・ハンティング』とか、
そういうおもしろい自主制作映画をいっぱい作っていたように思います。

で、その頃のMIRAMAXで制作されたのがこの『Smoke』という映画です。

主人公はおっさんたち。

舞台はNYです。


さゆさんのブログ ←こんなNYの片隅にあるタバコ屋
おっさんをハーヴェイ・カイテルが演じます。
この俳優の人は、パルプフィクションで死体の掃除をしに来るウルフの人ですw





で、そのタバコ屋に、なんかぼろい、いかにも小説家っぽい男が来店。
他の客から「どうだいかけてるかい?」とかみたいなこと言われたりして、どうやら有名人らしい。


さゆさんのブログ 実は彼は小説家で、スランプに落ちいてるからちんたら
このタバコ屋に通ってくるんですね。
で、彼を演じるのがウィリアム・ハート。
『A.I』で、あのロボットの創造者の役とか、あと以前紹介した『母の眠り』で名門大の文学教授を演じていた役者です。



似合うな~、この人こういう役w


で、『スモーク』は、ストーリーはどうってことないんですよ。

以前絶賛した『ワンダーボーイズ』とか、『グット・ウィル~』とか、人種と階級を超えてって感じなら
『小説家を見つけたら』や『グラントリノ』なんかもそうかもしれない。

あの手の感じの、自分に子供もいない、妻もいない中年のおっさんがどうしようもない若造を
何故か知らぬが救うことになった

・・・・って話です。



こういう話ならば、映画としてはやっぱり『ワンダーボーイズ』が映画として秀逸です。
この『Smoke』の世界にロバート・ダウニーJrが乱入したりしたら面白いでしょうねw

まあいいや。

で、Smokeは何でこの映画はいいのかっていうと、この手の映画に描かれる独身の「作家」が、
私は大好きなんですね。




さゆさんのブログ
←こういう古風なライティングデスクに向かい、
家の中で仕事をしている感じ。


で、ふらふら好きな時に好きなところへ行く感じ。
どうしようもなく無精なかんじw







スモークの原作はポール・オースターの小説なんですが、この映画の脚本にもオースター自身が加わっていて
ウィリアム・ハート演じるこの小説家の名前も「ポール・ベンジャミン」(ベンジャミンはオースターのミドルネーム)
と言います。

直球で自分自身なんですねw



というわけで、私はこの小説家についてこれからぐだぐだ書きますが、
おっさんたちみんなにちゃんとストーリーがあるので、別にこの人が主人公ではないからねw


小説家のポールがタバコ屋から帰ってくるのにふらふらって歩いていると、


「サー、?あんた何してんだよ!死にたいの!?」


とかなんとか、黒人の少年に話しかけられます。

道で轢かれそうになったのを助けたんですね、彼が

「いやーぼーっとしってた。お礼にジュースだけでもおごらせてくれ」



で、少年はオレンジジュースか何かをのみますw


すると、ウィリアム・ハートが、NYだし、黒人だし、と思ってのことか・・・
お礼に、私のところに何日かとまらないか?とか提案するんですね。

すると少年が、見下されるのを嫌がって、俺は大学で勉強もしてるし、親も心配するし
とかなんだかんだというのです。


少年はいろいろなつくろいをするんですね、
こないだな面接での私のようにw

見下されてるんではないか・・・っていう恐れなんですね、こういうつくろいは。


ポールのことも「めーーん」とか「おっさん」とか言わないで「サー」と呼ぶんです。


ワンダーボーイズでも、少年がちょっとした問いかけだけでも「Professor.Trip(トリップ教授)」
っていちいち敬称で呼ぶんですね~。

これは敬意をこめてってのもあるけど、大人との距離のとり方がわからない子供って
雰囲気をよくあらわしてますね。



私も大学の英会話の授業で、「Call me Dan!」って先生に言われ、そんな風には呼べませんでしたw
先生のこと「こばちゃん」とかあだ名で呼ぶとかさ、私にはできなかったw





そうそう、で、話をスモークに戻すと、

え?なんで?おまえんち連れてって、で、どうすんの?

って思うよねw


で、アパートにつくんだけど、別に何もしないんです。
はい、じゃあここだから、俺書斎で仕事するから好きにしてね、って感じで。
少年も、「へ?」って顔をしているんです。




OCとかでもありましたが、男が同情で少年を引き取ったりすると、普通家に着くと奥さんがいて、
「まったくあなたは、しょうがないわね!世話するのは私なのに・・・」
とか言って、布団の場所とか、お風呂の場所とか、冷蔵庫の中とか説明するんですね。



でもそれが全くない・・・



その「あれ?」って感じが、この小説家の違和感なんですね。


実は、この小説家、つい最近に奥さんを事故で亡くしたばかりなんです・・・


で、そんなおかしな居候生活をしていたある日

「あのさーどうでもいいけどおまえ、まだでてがないの??」みたいなことを、
小説家が言い出すんですね。


少年は「え・・・だって・・・」って感じで戸惑い、そのあと逆切れしてアパートを飛び出します

少年が一生懸命取り繕う態度に対し、華麗にスルーされたもんだから、
寛大に受け入れてもらえたのだと思っていた少年にはショックだったんですね。




さゆさんのブログ 少年が去った後、いろんな客がこのアパートにやってきて、
少年の問題が続々と発覚します
この少年が実はマフィアの金を偶然盗んじゃってたこと、
家族の問題があること・・・
結局この少年が起こした問題で、おっさんたちも巻き込まれちゃったので、
しょうがねえなんとかするか、よっこいしょ、ってことになります


そんな話ですw


さゆさんのブログ で、この主役のタバコ屋のおっさんなんですが、

ある日、小説家は夜になってからこのタバコ屋に行きます。
ちょうど、店を閉めるところ。

一杯飲んでくか、見せたいものがあるんだ。
ってことになり


瓶ビールを飲みながら、
「毎朝同じ時間に同じ場所の写真を撮っているんだ」
と、淡々と自分の趣味を話し始めるタバコ屋・・・・・・。

小説家の顔が、明らかに何かに気付き、固まる・・・。もしや・・・。

そして、アルバムをめくり、2人で見始める。

だんだんと、一日ずつ、あの日に近づいていく・・・・

小説家の手がとまり、涙があふれる。

そこには、写っていたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ってことで、さすが、オースターですねw


ここまで詩的だと、ちょっとなあ・・・
思わせぶりすぎて、疲れてしまうかも。
「そんで?早くネタあかしてくんないかな?」という、まさにポール・オースターの小説
を読み漁った時と同じ気持ちになりましたw

シナリオシナリオってかんじで、途中で飽きちゃう人も多いかも。

しかし、こういう映画って結構誰かの生涯ベスト級映画だったりするよねw

私には『ワンダーボーイズ』のほうが、映画として幅があり、面白味もあって好きでした。

が、なんかこういう小説家のほろ苦い人生には、憧れるw

0 件のコメント:

コメントを投稿